
近況報告
2026年2月26日~28日にデンマーク・コペンハーゲンで開催された「The 27th European Congress on Gynaecological Oncology(ESGO 2026)」にて発表してきました。
発表タイトルは
「Treatment patterns and clinical outcome in advanced/recurrent endometrial cancer after adjuvant chemotherapy: interim analysis of the JGOG2055s/PEACH study」
で、JGOGの臨床試験の一つであるPEACH試験の中間解析結果について報告しました。関連病院の先生方のご協力により、山形大学が最も多くの症例を登録していたことから、今回発表の機会をいただきました。発表後にはスウェーデンおよび韓国の先生方からご質問をいただき、本研究に関心を持っていただくことができました。
今回の学会で最も注目を集めていたトピックは、何といっても「抗体薬物複合体(ADC)」です。日本では現在、進行・再発子宮頸癌に対するADCのみが承認されていますが、欧米ではFRαやHER2を標的としたADCがすでに臨床で使用されており、さらにTROP2などを標的としたADCも近く承認される見込みとのことでした。ADC分野において、日本は欧米に比べてやや遅れをとっていると感じました。
また、卵巣癌の開腹手術、子宮頸癌のロボット手術、外陰癌の手術がライブ中継されており、これまでテレビドラマなどで目にしたことはありましたが、実際の学会で体験するのは初めてで、大変貴重な経験となりました。さらに、卵巣癌のIDS(interval debulking surgery)における全腹膜切除と部分的腹膜切除を比較するセッションも非常に興味深い内容でした。
それ以外で印象的だったのは、欧米では腫瘍専門の女性医師が多いこと、そして婦人科腫瘍の中でも手術専門医と化学療法専門医に細分化されている点です。スウェーデンの先生のお話では、専門分化が進んでいることでワークライフバランスが保たれているとのことでした。ちなみに、コペンハーゲンでは16時が保育園のお迎えのピークだそうです。
日本でも大都市を中心に同様の流れは見られますが、今後さらに治療選択肢が増えていくことが確実な婦人科腫瘍領域において、薬物療法の適切なマネジメントを考えると、専門分化は歓迎すべき流れかもしれません。山形ではマンパワーの問題もあり、現時点では難しい面もありますが、将来的な実践を見据え、婦人科腫瘍を専門とする医師のリクルートの重要性を強く感じた学会でした。
婦人科腫瘍分野は、今後ますます発展していくことが期待される領域です。ご興味のある先生、ぜひ一緒に取り組んでみませんか。
(文責:奥井)