研究案内
周産期グループは、私たちが妊婦健康診査にて日常接する妊婦さんや胎児・新生児に認められた疾患の検査、診断、原因遺伝子の解析、さらにその病態を解明し、将来の治療に繋げることを目標に種々の研究を行っています。
現在、当科で行っている代表的な臨床研究としては以下のものがあります。
①「妊娠中の胎盤の超音波診断に関する研究」
胎児に対する超音波診断法は年々進歩しております。胎盤に対する超音波診断も、癒着胎盤等の特定の胎盤疾患についてはよく研究されていますが、正常な胎盤の所見については臨床的にあまり重要視されていません。しかし、超音波診断装置が普及し発達した現在、正常な胎盤についてもわかることが増えているため、厚さの測定をはじめとした胎盤の超音波所見について、研究を行っています。
②「絨毛膜羊膜炎の早期診断を目指した研究」
絨毛膜羊膜炎は、感染等を原因として胎盤や卵膜に炎症を起こし、早産や胎児機能不全の原因となり得る疾患です。診断の確定は、分娩後に胎盤の病理組織学的検査によって行われ、分娩前に診断を確定することは困難です。早期診断のため、腟分泌物の細菌やサイトカインを調べたり、羊水の細菌検査の研究などが行われていますが、まだ早期診断法は確立されていません。本研究室でも、妊婦さんから腟分泌物や胎盤を提供いただいて、絨毛膜羊膜炎の早期診断を目指して研究を行っています。
③「脱落膜化不全に関する研究」
受精卵が着床し、妊娠が継続するためには、子宮内膜が変化した脱落膜が有効に機能することが必要です。脱落膜が有効に機能するには、細胞内骨格の変化や、小胞体ストレスが重要な役割を果たしていることがわかっています。当研究室では、妊娠の成立や維持に寄与する脱落膜の機能について研究しています。我々の研究は、脱落膜の不全による流産や胎児発育不全等の予防、治療につながることを目標としています。
そのほかにも、当院に通院、入院された方の協力を得て、各疾患の解析や報告を行っています。